2013年12月6日金曜日

スロットルの選び方

今回はチューニング系の話題です。

タイトルにある通り、テーマはスロットルです。
スロットルを小さくしたいという人は稀だと思いますので、大経スロットルについて考えていきたいと思います。多連スロットルやスライドスロットルについては別の機会にします。


大経スロットルは“効果が体感できるのに効果がない”パーツの筆頭だと思います。
どういうことか以下の図を見てください。赤が大経スロットル青がノーマルです。

まずスロットルの前提として、大きければパワーアップするわけではありません。どのエンジンにも、これ以上大きくしても無意味な値が存在します。
上図では緑のラインがそれにあたります。従って、純正スロットルでこの値までスロットルを開くことができるのであれば、スロットルの経を広げる必要はないことになります。

ではなぜ体感が大きいのか。これも実に簡単です。
上図から分かるとおり、同じペダルの踏み方をしたら大経スロットルの方が開いています。スロットルが開けばそれだけパワーがでるので、いつもより加速が良いのは当然なのです。

しかしピークパワーは緑のラインで決まりますので、パワーアップしているわけではありません。単にいつもより多めにアクセルを踏み増ししているのと同じなのです。

もう一つ注意すべき点は、エンジンの出力をコントロールできるペダルのストローク量が減少してしまうことです。アクセルコントロールは難しくなります。

従って、スロットルの経を変更する必要があるのは、スロットルが吸気のボトルネックになっている場合です。スロットルを変更して出力を図らなければいけないので、意外と面倒ですがパワーチェックはそこまで高くないですし、スロットル交換も簡単な作業です。ユーザーレベルでの検証も可能ですが、気温や湿度が変わらないように短時間で済ませるべきですね。


2013年12月3日火曜日

東京モーターショー感想

東京モーターショーに行ってきました。

市販車からコンセプトカーまで多種多様な車が展示されていますが、その中でも気になったものをピックアップしていました。


では、いきなり本命とも言えるホンダのS660から。

ここ数年“どこのメーカーよりも枠にはまっている”ホンダのテーマが「枠にはまるな」ってのは正直ちゃんちゃらおかしいですが、まだやる気はあるようです。

市販前提と言われているS660ですが、現代の安全基準で660ccのスポーツカーというのは無理があるかもしれません。N系のターボを乗るとわかりますが、明らかなパワー不足です。

スポーツカーだからといって必ずしもハイパワーである必要はありません。しかし最低限の加速ができなければ面白くありません。これはホンダが悪いわけではなく、軽の64ps自主規制が原因です。660ccターボであればまだまだパワーが出せます。

従ってチューニング前提であればなかなか面白い選択肢となりそうですが、そうでなければロードスターを買ったほうが良いでしょう。

あるいはとにかく維持費を抑えたいけどスポーツカーを所有したいというニーズには答えられるかもしれません。


次に同じような構成のダイハツ・コペン。
コペンはスポーツカーというより、気ままなオープンカーというイメージが強く、そういう購買層があるでしょうし、動力性能はそこまで問題にならなさそうです。

それらをわかって買うのであれば、S660とコペン、見た目が好きな方を買えば良いのでは、というのが素直な感想です。個人的にあまり興味はありませんが、こういう選択肢があるということが一般に認知されるきっかけになることを期待しています。


最後に日産・IDx。
若者の意見を集めた結果とのことですが、ほんとかよ。といった感想。
しかし好きだ! これぞ国産車だと思います。

とはいえコンセプトカー。市販されるかどうかもわからないのでそれだけです。
自分の納得するパッケージで市販されて欲しい気持ちはありますが、市場のニーズと私のニーズが重なっている保証もなく、優先されるべきは市場のニーズです。

個人的にはシルビアと同じような構成が好きなのですが、ほかの方はどうなんでしょうね。

2013年11月18日月曜日

エンジンオイルはなんでもいい

エンジンオイルについて考えてみましょう。


エンジンオイルの概要


エンジンオイルに求められる性能は六つと言われています。
それは

・減摩
・緩衝
・清浄
・密封
・防錆
・冷却

です。

これらの項目全てにおいて、必要な性能を満たしていればエンジンオイルとして問題ありません。そして一般に流通しているオイルはこれらの項目を満たしていると言えます。ただし、それは一般的な運転においての話であり、モータースポーツ用途となると話は別です。

モータースポーツでは高回転を多用するため、減摩や緩衝に問題が発生します。油膜が切れて金属同士が直接接触し、破壊が起きます。それを回避するためには、油膜をきっちりと保持しなくてはなりません。

油膜を保持できればそれはモータースポーツ用途としても適正と言えます。しかし本当のレース用エンジンなど徹底的に詰めなければならない次元や、メーカーの実験の世界になってくると、ほとんど同じオイルであるはずなのに片方は問題なく、もう片方はブロー、なんてこともあるほど未解明な部分が残っていることは覚えておいても損はありません。


以上がエンジンオイルの概要です。


では、油膜を保持する方法を考えてみましょう。

ユーザーレベルでできることは大きく分けて三つあります。

まずオイルの粘度を上げること、次に性能の高いベースオイルを使うこと。三つ目はオイルの温度を管理することです。

オイルの粘度を上げる


粘度を上げると油膜が厚くなります。これにより、油膜の保持が期待できます。しかしながらこれに関しては、給油とフリクションについて気をつけなければいけません。

まず給油についてです。粘度を上げる事は油膜の保持に効果がありますが、給油に障害が出る可能性があります。問題は特にクランクピンで起こります。クランクピンは高回転エンジンにおいて最も潤滑が厳しい箇所です。

クランクピンへの給油は細く長いオイルラインを通ってくるため、粘度が高いとスムーズに給油されなくなってしまいます。給油が適切に行われないと、クランクピンの潤滑はもちろん冷却にも問題が出てきます。負荷が大きいにも関わらずクーラントが届かないため、潤滑ができているのであればオイルはジャバジャバ流しクランクピンを冷却したほうが良いでしょう。

次にフリクションについてですが、粘度が上がればフリクションが増大します。そのぶんエンジンのパフォーマンスを損なうことになります。

上記のように、闇雲に粘度を上げることはエンジンにとって好ましいことではありません。

性能の高いベースオイルを選ぶ


ベースオイルは一般的に3タイプ、鉱物油、半合成、全合成とありますが、最近は鉱物油から作られた高度水素化分解という化学合成っぽいものもあります。

近年では精製技術が非常に高く、鉱物油でも不純物はほとんど含まれていません。従って、ベースオイルにこだわる必要はないという意見もありますが、それはあくまでシティユースでの話です。

化学合成油は油膜の保持力が高いのが特徴です。従って、粘度を上げずに油膜を保持できるのでモータースポーツとしては有利に働きます。その差を埋めるべく鉱物油には高分子ポリマーが多量に添加されることが多いのですが、これは高温時にはあっさりと剪断されサラサラになってしまいます。高温・高回転時の油膜保持力はやはり化学合成油に軍配が上がります。

また、バルブステムのガイド部はオイルが出て行く先がないので燃え尽きえるように設計されています。従って、ここに分子構造の不揃いな鉱物油が入り込むと燃え残りが発生し、スラッジとして貯まります。これがバルブガイドシールを痛める原因になると林教授は著書で書いていますが、影響は比較的軽微であるようです。

以上、サーキット走行においては保険として化学合成油を選んでおくべきでしょう。反対に、それ以外では化学合成油のメリットを享受できることはないと考えて問題ありません。

オイルの温度管理


次にオイルの温度管理についてですが、これは単純です。油温がぐんぐん上がるサーキット上においてその温度上昇を止める手を講じておけば、オイルの保護性能を維持できます。これはオイルクーラーを利用するのが手っ取り早くて現実的です。オイルは125~130℃を超えると急激に潤滑性能を失います。それ以下、一般的に85℃程度が望ましいと言われていますが、開発者によってはブローバイから混入するガソリンを嫌い、100~110℃が望ましいと言われることもあります。


まとめ:オイルの選び方


エンジンオイルはシティユースかサーキット走行を想定しているかで大きく違います。

シティユースでは市販されているほぼ全てのオイルが要求性能を全て満たしていると言えます。従って問題となるのはメーカーの指定粘度と劣化です。指定された粘度をまもり、定期的な交換をすれば問題が起こることはありません。高価なオイルのメリットを享受することはできないので、安価なオイルを選ぶべきです。フィーリングを求めるのであれば指定粘度内で粘度を下げることが最も有効かつ安価な方法です。

サーキット走行を視野に入れた場合は、油膜の保持を念頭に適切なオイルを選ぶ必要があります。油膜の保持力は極力ベースオイルで確保し、粘度上昇は最低限にするのが望ましいと言えます。また油温の上昇はあらゆるオイルの潤滑性能を著しく損なうため対策が必要です。


以上。


2013年9月18日水曜日

記事のコンセプト

今時ブログ?といった感じですが、立ててみました。

車に関連することなら何でも書いていこうと思います。

その際に自分でコンセプトを決めて書いていますが、「これは嫌だ、やらない!」という例を挙げたほうが分かりやすいと思いましたので始めにそれを書きます。



1:外車という括りはしない

そもそも外車という括りが気に食わない。国によって一定の方向性はありますが、外車といってもひと括りに出来ません。アメ車とドイツ車を同じ扱いに出来ないのと同じです。



2:欧州車信仰はクソくらえ

ここまで成熟した産業では、既に良し悪しを決めること自体難しいことです。良し悪しではなく、自分の求めるものに合致しているかで車を選ぶ時代です。機械として正しさを求めるドイツ車と、道具としての正しさを求める日本車、他の国の車にもそれぞれ良い所があります。



3:デザインの良し悪しも難しい

カーグラとか読んでるそこのあなた。もしお気に入りの車にトヨタのバッジが付いていたら、あなたは格好良いと言ったでしょうか。絶対に言っていません。そのような実験は何度も行いましたが、全ての人がブランドに陶酔しているだけでした。
デザインは、「どんな需要に応え得るのか」「誰のためのデザインか」が大切です。
そしてデザインとは見た目の美しさだけでなく、機能性も含めて初めてデザインです。



こんなところでしょうか。

ドライバーとはサーキットなり峠なりでクラッシュのひとつやふたつを経験し、乗り越えてこそ一人前だと思っています。そうではない車好きは、好きでいる分には全く問題ないのですが、是非口を慎んでいただきたいと日頃から感じます。

なぜならその人が乗るポルシェより、私が乗るシルビアのほうが速いにも関わらず「お前の車は遅い」なんて言われる理由がないからです。車はドライバーが居て初めて動くということを忘れてはいけません。

プロであればともかく、「ちょっとレースしてます」あるいは「全くしない人」にとっては、プロの出したタイムはさほど意味あるデータではありません。